技術士の国際活動に興味があったので、標記報告会に参加しました。
全体的な印象としては、技術士会の国際活動は方向性を試行錯誤しており、色々な課題を抱えているなというものでした。
1.国際委員会の活動、国際交流活動報告
日韓技術士交流委員会と海外活動支援委員会が下部組織として存在していますが、日韓技術士交流委員会などはむしろ国際委員会そのものより歴史が深く、言わば独立した委員会として活動を行っている印象でした。
韓国以外に具体的に交流活動をしている国としては、台湾、中国、ベトナム、シンガポール、オーストラリア、英国などがあり、一部合同で講演会や研究会を開催したりしていますが、とても活発とは言えない報告内容でした。台湾や中国などでは技術士の海外活動支援を行っていましたが最近は下火になり、ベトナムを次のターゲットとして考えているようですが、渡航費用は日本持ちという制約があってなかなか進まないようです。日本が先進的で、日本の技術を指導するという時代ではなくなってきていると思います。
今後日本の技術が国際貢献できる分野があるとすれば、恐らく環境技術、自然災害対応技術、材料に関するものづくり技術、高付加価値農業技術などでしょう。しかし、少なくとも後者の2つは、将来においても日本の競争力(国内生産ベースの輸出競争力)を維持する上で虎の子となる技術なので、安易に技術を移転する支援を行わない方が良い可能性もあります。
そういったことも含めて、国際委員会の活動の方向性をもう少し明確にしていった方が良いと感じました。
なお、自分自身興味がある台湾に関しては台湾貿易センターというところが窓口になっているようです。ここは、日本でいうとJETOROにあたる組織で、見本市の開催や台湾企業の貿易支援が主な業務ですが、HiRecruit海外人材登録サービスと言う人材マッチングサービスも行っています。
中国関連では、技術士になってから日中交流センターという組織からやたら案内が来るようになりましたが、ここは日本技術士会の内部組織ではなく、あくまで会員による自主活動組織であって、国際委員会としては活動内容には関知しないことを初めて知りました。他の参加者も誤解していましたが、少し紛らわしい活動です。
2.海外活動支援委員会
ここは、技術士が海外活動を行う上で必要な各種支援を行うことが主な任務であり、一つは各種セミナーや勉強会を開催しています。そちらは良いですが、もう一つは先ほども書いた海外活動支援として、海外活動に興味がある技術士をパーソナルデータベースに登録し(現在約400名弱)マッチング活動をしていますが、昨年の成約件数はゼロ件だったということで、問題だとの報告がありました。因みに一昨年でも3件です。
前のところでも述べた通り、これからはそういう時代ではないのかなと感じました。
3.日韓技術士交流委員会
ここの活動報告を聞くと、間違いなく一番国際交流らしい活動をしています。技術士の海外活動については、ここが積極的な役割を果たしている様子はなかったですが、私も一時期そうしていたように韓日技術財団が窓口になって活動支援を行っていて、間接的に関与しており、実際数多くの技術士が韓国で活動してきた実績があります。
しかし、こうした緊密な交流の枠組み自体、50年前の日韓基本条約の締結から始まった経緯がありますが、昨今この枠組みの前提条件に疑問符を投げかける事案が出てきて政治問題化してきており、これまで通りの活動を行うべきかどうかという岐路に立たされている気がしました。
技術の交流は政治の思惑とは別に進めるべきだというのが建前ですが、実際にこの交流委員会で活動している方々は、本当に今まで通りの活動をしても良いのだろうかと自問自答しつつあると思うし、極端に言うとある種の後ろめたさも感じながら活動されているんじゃないかとも思いました。
活動している人たちがそういう後ろめたさを感じなくてもすむようなサポートが、技術士会トップあるいは関係官庁からあるべきではないかと思いました。
この場合のサポートとは、日韓基本条約の精神に両国が立ち返りそれを確認した上で再スタート出来るよう努力してもらうことが一番ですが、それが直ちに難しい場合は政府サイドからの方針として技術交流を一時停止あるいはトーンダウンさせることも考えられると思います。
全体的な印象としては、技術士会の国際活動は方向性を試行錯誤しており、色々な課題を抱えているなというものでした。
1.国際委員会の活動、国際交流活動報告
日韓技術士交流委員会と海外活動支援委員会が下部組織として存在していますが、日韓技術士交流委員会などはむしろ国際委員会そのものより歴史が深く、言わば独立した委員会として活動を行っている印象でした。
韓国以外に具体的に交流活動をしている国としては、台湾、中国、ベトナム、シンガポール、オーストラリア、英国などがあり、一部合同で講演会や研究会を開催したりしていますが、とても活発とは言えない報告内容でした。台湾や中国などでは技術士の海外活動支援を行っていましたが最近は下火になり、ベトナムを次のターゲットとして考えているようですが、渡航費用は日本持ちという制約があってなかなか進まないようです。日本が先進的で、日本の技術を指導するという時代ではなくなってきていると思います。
今後日本の技術が国際貢献できる分野があるとすれば、恐らく環境技術、自然災害対応技術、材料に関するものづくり技術、高付加価値農業技術などでしょう。しかし、少なくとも後者の2つは、将来においても日本の競争力(国内生産ベースの輸出競争力)を維持する上で虎の子となる技術なので、安易に技術を移転する支援を行わない方が良い可能性もあります。
そういったことも含めて、国際委員会の活動の方向性をもう少し明確にしていった方が良いと感じました。
なお、自分自身興味がある台湾に関しては台湾貿易センターというところが窓口になっているようです。ここは、日本でいうとJETOROにあたる組織で、見本市の開催や台湾企業の貿易支援が主な業務ですが、HiRecruit海外人材登録サービスと言う人材マッチングサービスも行っています。
中国関連では、技術士になってから日中交流センターという組織からやたら案内が来るようになりましたが、ここは日本技術士会の内部組織ではなく、あくまで会員による自主活動組織であって、国際委員会としては活動内容には関知しないことを初めて知りました。他の参加者も誤解していましたが、少し紛らわしい活動です。
2.海外活動支援委員会
ここは、技術士が海外活動を行う上で必要な各種支援を行うことが主な任務であり、一つは各種セミナーや勉強会を開催しています。そちらは良いですが、もう一つは先ほども書いた海外活動支援として、海外活動に興味がある技術士をパーソナルデータベースに登録し(現在約400名弱)マッチング活動をしていますが、昨年の成約件数はゼロ件だったということで、問題だとの報告がありました。因みに一昨年でも3件です。
前のところでも述べた通り、これからはそういう時代ではないのかなと感じました。
3.日韓技術士交流委員会
ここの活動報告を聞くと、間違いなく一番国際交流らしい活動をしています。技術士の海外活動については、ここが積極的な役割を果たしている様子はなかったですが、私も一時期そうしていたように韓日技術財団が窓口になって活動支援を行っていて、間接的に関与しており、実際数多くの技術士が韓国で活動してきた実績があります。
しかし、こうした緊密な交流の枠組み自体、50年前の日韓基本条約の締結から始まった経緯がありますが、昨今この枠組みの前提条件に疑問符を投げかける事案が出てきて政治問題化してきており、これまで通りの活動を行うべきかどうかという岐路に立たされている気がしました。
技術の交流は政治の思惑とは別に進めるべきだというのが建前ですが、実際にこの交流委員会で活動している方々は、本当に今まで通りの活動をしても良いのだろうかと自問自答しつつあると思うし、極端に言うとある種の後ろめたさも感じながら活動されているんじゃないかとも思いました。
活動している人たちがそういう後ろめたさを感じなくてもすむようなサポートが、技術士会トップあるいは関係官庁からあるべきではないかと思いました。
この場合のサポートとは、日韓基本条約の精神に両国が立ち返りそれを確認した上で再スタート出来るよう努力してもらうことが一番ですが、それが直ちに難しい場合は政府サイドからの方針として技術交流を一時停止あるいはトーンダウンさせることも考えられると思います。
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