前回の結論で記したように、感染の急拡大を人との接触機会の大幅削減によって 一旦収束させられたとしても、次の急激な波を防ぐには、市中におけるアク ティブ な感染者の割合をモニタリングし、かつ検査体制の充実が重要です。 そこで、今回新しい生活スタイル(様式)と言われている、コロナ以前の生活と 比較してあるレベルで接触機会を減らす生活を前提に、市中感染率がある値の時 を 初期条件としてそうした生活を実践した場合に、感染拡大を防ぐことが可能か どうか 試算してみました。 新しい生活様式としては、コロナ以前に比べ30%の接触制限を前提にしました。 80%の接触制限だと、ほぼ経済活動が止まってしまうレベルですが、30%の 制限でもかなり実生活への影響があるレベルだと思います。 検査体制の充実に関しては、現状の2倍及び10倍の2ケースについて検討しま した。結果を以下の図に示します。 今回の検討において、感染の拡大を防げるのは、アクティブな感染者ベースの 市中 感染率が0.1%のときで、しかも検査能力が現在の10倍の場合だけです。 それ以外の場合、遅かれ早かれ感染が急拡大し再び接触機会の大幅制限の措置を 取らざるを得なくなってしまうのが見てとれます。 市中感染率0.1%というのは、日本の人口ベースで言えば感染者数12万人に 相当します。 これまでの検討はもちろん理論的な裏付けがあまりなく、あくまで試算的な内容 に 過ぎませんが、我々が今後目指すべき大まかな方向性を知る足がかりとなりま した。 今後さらに検証を行って、必要に応じて補足をしたいと思います。